2009年1月10日土曜日

西の宝玉

ぴんぽ~ん!あ、来たかな?は~い牡丹皮 片 。私は突然の来客に驚き、えみこの平然とした態度とこれから起こることにただただ成す術もなく立ち尽くしていました。それも超のつくミニスカート姿で。今日は日曜日。私はいつものようにえみこのおうちで優子になってえみこのちらかしたお部屋を片付けていました。薄いオレンジ色のミニスカートの丈は普通の女性が外出するときには履くことを躊躇うような衣装といっていいくらいの短さで、それを履くには理由がありました麻黄 。えみこは常に私に対して男性っぽいところを排除するように求めていました。そして昨日の夜から男言葉や女性が使わないような汚い言葉を使ったらこのミニスカートを履いて生活するように言いつけてきました。慣れない男言葉なしの生活に戸惑った私は1時間もしないうちにボロを出してしまい、えみこの思惑通り恥ずかしいミニを履くハメになってしまいました陳皮 。そして、これから1日どうなっちゃうのかしら?などと考えているうちに来客が来たのでした。来客はえみこの中学校の同級生の女性で恭子という名前の女性でした。背が高く、色白で美人の恭子さんは私のことを予め訊いていたみたいで、私を見ても何も驚きませんでした。えみこが不機嫌そうにお茶を入れてくるよう私に言いつけてきました。その時、恭子さんは私の格好に初めて気がついたようでした。立ち上がって畳み地黄 に女座りしている恭子さんの横を通り過ぎていくとき、痛いほど恭子さんのいやらしい視線を感じました。あきらかに下着がみえているといったかんじでした。私はそれが恥ずかしくてたまりませんでした。小走りに台所に行き、やかんに水をいれコンロに火をつけました。後ろからの視線はまさに視姦でした。お湯が沸き、お茶を湯飲みに注ぎ山茱萸、再び二人のいる畳の部屋に戻りました。そして膝を畳みにつくとき、また恭子さんのいやらしい視線を感じました。恭子さんの後ろには姿見の鏡がおいてありました。私はそこに自分の姿をみることができました。そこに映っていたのは薄いピンクのパンツがちらっと見えている私の恥ずかしい姿でした。恭子さんはそれを見て視線を私のパンツに集中していたのです。優子ちゃんだっけ?可愛い下着履いているのね~桑白皮。みえちゃった。えみこから訊いてはいたけどほんとに女の子みたいね。恥ずかしがっている姿が可愛いわ!恭子さんはこんなことを言って私の羞恥心を煽るのです。きっとえみこがそう仕向けたのでしょう。後で聞いたのですけど恭子さんはビアンだそうで、私みたいな女装子がお気に入りだそうです。そんな人の前で、恥ずかしい下着を見せてしまった私。襲ってくださいと言っているようなものです。呆然としている私の黄連 横にえみこが座りお前そんなに一生懸命恭子を誘ってどうするつもりなんだ?僕というものがありながらさ~と苛めてきます。そして、私の両肩を掴み、いとも簡単に押し倒してきました。下着を見られちゃいけない思いで、バランスを崩した私はあっけなく押し倒されえみこの思うが侭にされていました。乳首をブラと洋服の上からなでられ杏仁、ミニのスカートはすでに用を成しておらず、まくれあがって薄いピンクの下着を露にしていました。えみこはその中心部にわずかに膨らんでいる私のクリを探し当て、柔らかく揉むのです。私はたまらずイヤイヤをして抵抗しました。恭子さんの見ている前で犯されるのは絶対に嫌でしたから。しかし、次の瞬間その願いは虚しくも消え去りました。というのはその恭子さん自体がえみこに加勢してきたのです。私は二人の女性に押さえつ甘草 けられて犯されることに恐怖していました。えみこがクリ、そして恭子さんが胸を愛撫し続けてきました。私のクリがだいぶ感じて濡れてきたころにえみこは私にいつものようにどうして欲しいのか訊いてきました。しかし、恭子さんがいる目の前でいつものように恥ずかしいあのおねだりを言えるわけがありません。が、言わないとずっと延々と上下の愛撫を二人から受けなければいけません。何回かえみこが私に訊いてきます苦参 。最後の訊き方はイライラしているのがよくわかるような言い方でした。私はとうとう根負けして小さな声で言ってしまいました。お願い。優子のここ入れて。もう我慢できないの。恭子さんはニヤニヤ笑っていました。私は凄く恥ずかしく両手で顔を覆っていました。そして気がつくと、えみこが下着を脱いで私の上に乗ってくるところでした西洋人参。私は二人の愛撫から解放され、今しかないと狭い畳の部屋の中を逃げようとしました。えみこは余裕を持って私を追い詰めてきます。そして、あの姿見の前でとうとう捕まってしまいました。私の体力がないことと、えみこが力仕事をしていることで二人の力関係はえみこのほうが強く、私が力で叶わないことはわかっていましたが、恭子さんの見ている前で弱弱しく犯されることを嫌がって、最後の抵抗を試みました。さぁ烏賊骨。おとなしくやられちゃいな!恭子も見たかったんだって。優子がやられる姿を。そう言い残し、えみこは私のクリをえみこのあそこで包み込みました。そして、男性のような腰使いで、私の喘ぎ声を誘っていきます。いや~~。お願い。恭子さんの前ではやめて~。みちゃいや~~そういいながら、なすがままに快楽の淵へと落ちていく私でした白朮。恭子さんは私を見て凄く昂奮しているようでした。そして、えみこがイクのがわかった瞬間にえみこにお願いをしてきました。ね~。彼女とさせて~。だめ~。えみこの大事な彼女なのはわかっているんだけど。私もう我慢できないよ。えみこが見せ付けるんだもん。こんな可愛い子責めちゃって。すると五味子 、えみこはあっさりとOKしてチェンジしたのでした。私はあたかも輪姦されているかのようでした。すばやく下着を脱いだ恭子さんは間髪要れず、私のクリに腰を埋めてきました。そして、トロンとした眼で私を見下ろしてきます。可愛いわ。いかせてあげる。女の子なんだから、何回もね。出しちゃだめよ。優子は女の子なんだから丹参 、出しちゃだめっ。と言いながら、ゆっくりと腰を使い始めました。それはえみこのような激しいものではなく、女性の優しい感じの腰使いでした。私はたまらずすぐにいってしまいました。でも恭子さんの言いつけ通り、射精はしませんでした。私はそういうイキ方ができる体質でした。そして何回も感覚が短くなってきて、頭の中が真っ白田七人参 になってくるほどの快感を得ていました。恭子さんのエッチは何時間も続くかのような勢いでしたので、えみこが途中で間に入ってきました。そのとき、私は放心状態でした。ある夜、セクシーなランジェリーを身にまといながら私は脚をM字に拡げられ恥ずかしい格好をしているところをえみこに見られ、触られ、感じていました。恥ずかしい格好だね天竺黄 。優子の恥ずかしくなっているお顔を見ているとなんだかこっちまで恥ずかしくなってきちゃうよ。と言われました。そんな言葉が聞こえたのか、えみこの子供が起きてしまいました。小さい子供ながらに私のエッチな格好に驚いています。私は3歳に満たない少女目には女性に映っていたらしく、私の股間に女性にはないものがあったのを驚いているようです。でも父親を離婚で知らない彼女には、男のアレを目の当たりにしたの茴香も恐らく初めてなのでしょう。これは何?という顔をしています。すると、優ちゃんはね、お病気でここがこんなにはれちゃったんだよ。だから、お母さんがみてあげているの。かわいそうね~えみこはこんなことを言ったのです。恥ずかしい。私は3歳にも満たない子のまえでなんてはしたない格好をしていたのでしょう。それでも益母草粉 、私のアレは感じてしまうのです。それに気づいたえみこは笑いながら、私のアレをかる~く愛撫してきます。再び瞼の重くなってきた子供の前で感じることを我慢しながら耐えている私をみて満足そうな顔をしているえみこ。子供の前でかんじちゃって。どうしてほしいの?いってごらん?小さな声で、私にそう言ってきます。私は子供が完全に寝てしまったのを確認しながら、とうとう我慢できずお願い。抱いて。と、言ってしまいました芍薬 。当然えみこは喜びながら淫乱女!とだけいって私のアレにえみこの股間を沈めてひとつになるような動きをしてきました。優子のいやらしい格好を明日あの娘は覚えているのかな?そういいながら腰を振るスピードを速めて私をすぐ頂点に誘っていくのでした。えみこは自分の言い出したことは必ず実行するタイプです。既にブラもつけさせて何首烏 、赤いルージュを下唇が男としては比較的に膨らんでいる形をしている私の唇に塗っているところでした。出来上がりを満足気に笑みを浮かべたえみこは私にこう言いました。今からお前が優子だよ。女だから言葉使いには気をつけなくちゃな。いつまで、そんな恥ずかしい下着姿でいるつもりだ?早く箪笥にあるパジャマに着替えておいでよ山薬 。そうしないと僕がお前を襲っちゃうことになっちゃうだろ!実際にはパジャマを着てようと着てまいと襲うつもりだったえみこは私の羞恥心を煽るためにえみこのパジャマを着せようと考えていたのでした。私はこれもゲームだと自分に言い聞かせて、興味津々で彼女のパジャマを箪笥の中から選んで着けていきました。白地に花柄のシンプルなそれは背中越しに下着の線が見えてしまうような夏物の薄い生地のものでした山査子 。着終わってえみこのほうに振り向くと、既に私の背後に立っていたえみこに全身を視姦されていました。ルージュを塗ったボーイシュの女の子がパジャマを着て恥ずかしそうにたたずんでいるところを。そんな私にえみこが言いました。か、可愛いね。想った以上に。絶対似合うんだろうな~ってずっと思っていたけど。おいで、優子。愛してあげる当帰。と、手をひかれて私はえみこに抱き寄せられました。えみこは私の唇に押し付けるようにキスをしてきました。今までにないくらいに長く愛情の籠ったキスで私はすっかり気持ちよくなっていました。こんな気持ちは今までに経験したことがありませんでした冬虫夏草 。キスだけでこんなに気持ちよくなれるなんて。私はえみこのことが好きだと実感できる瞬間でした。唇を離したえみこは私の股間を触りながらいい子だ。ここはこんなになっているのに。もうここはおちんちんじゃないよ。クリトリスって呼ぶんだよ。私の中に眠っている女性の心を引き出すような一言でした。私は今、女にさせられている。それは長年待ち望鹿茸片んだシチュエーション。表向き嫌がらないと私の女装癖がばれちゃう。でも、こんなに幸せな気持ちになれるのなら素直にならなくちゃ。そう、私はえみこの彼女にならなくちゃ。そんなことを考えていながら、えみこの優しい愛撫に身悶えていました。声を出してもいいんだよ。あんあんってかわいい声でないてごらん。優子は女の子なんだから胖大海 。ほおら、ここもこんなになっている~。きっと気持ちいいんだね、優子は。ブラの下から手を差し込んだえみこは私の乳首がたっていることを探り当て、私の今の状態を的確に捉え、言葉にしていくことで私の女になることへの羞恥心を更に煽るのでした。あぁん。お願いだめ。また、いっちゃうからだめ~。ださないでださないで~~。ださせないで~金銀花 。えみこのおうちで子供が寝付いた夜中に、私はえみこにすっかり女として抱かれていました。体位は騎乗位に近いかんじのえみこ攻めの体位。私のアレはえみこのなかに埋められ、えみこは男性がセックスのときに腰を使うような動きをして、私を悦ばせていました。ときどき、私の羞恥心を煽るように優子の中は気持ちいいな~。僕はもう出ちゃいそうだよ蓮子心。好きだよ。愛してるよ、優子~☆などと耳元で囁きます。私はそんなことを言われるたびにイってしまいます。言葉だけでイクなんて今まででは考えられませんでした。それはきっと、女性の心に近づいたからなのかもしれません。でちゃう~。でる~などとえみこに言われたとき、えみこのアソコがドクドクってなります。そして大量の愛液が出てくるのが感じられます。あたかもそれは精液を私の中に注いでいるかのように天麻。幸いにもすぐに病院に運ばれ、僕と彼女の命に別状はなかった。車の運転手にも怪我はなく、彼の自慢の車にも傷はなかった。そのかわり、運転手にはえんえんと説教された。彼がヤンキースファンでなかったらもっと長引いてたかもしれない霊芝片 。叔父さん、さんきゅ。今度アイスおごるから。ご、ごめんなさい彼女はおずおずと謝ったが、蚊の鳴くような声だ。いや、蚊だってもう少し大きい声で鳴くだろう。でも仕方がない。誰だって決まりが悪いものだ。自殺をしようとしていたところを見られたんだからクコの実。いや、それより僕の容姿のことが大きかったのかもしれない。そう、彼女は怖がっていた。みなさんは眼皮膚白皮症というものを知っているだろうか。5万賭けてもいい。知らないだろう。簡単にいえば、色素がないっていう病気だ。髪も肌も全部白い。ただ一点、紅い眼をのぞいたらの話だけど。おかげで小さい頃、やーい、やーい、吸血鬼ー、とか言われてた花旗参鶏スープ。そのたびにぐーで殴り飛ばして、すたこら逃げた。そんなことがよくあった。『おまえ、どーーして日陰ばっかにいるんだよ!やっぱり吸血鬼なんだな!』背の高いうっすらと茶色のかかった髪の男の子に、幼稚園の頃しょっちゅうからかわれていた。そのたびに殴り飛ばし、先生に怒られてた。いや、しょちゅうと言ってもそもそも幼稚園に行く回数が少なかったから大棗 、ほとんどされてないのかもしれない。ただ僕が覚えているってだけで。あ、あの話しかけられて、はっと現実に引き戻される。見ると彼女は不安そうな顔でこちらを見ていた。僕が怒ってると思ったのかもしれない。いいんですよ。怪我もどうってことないし本当はどうってことあった。車にはね飛ばされて、なかよく骨を折ってしまったのだ祁門紅茶。しかも足の骨。しばらくは松葉杖と仲良くやっていくしかないようだ。で、でもわはいは~い、ラクマンくん、イノウエさん、病室へ案内しますよ~の~んびりとした看護婦さんの声によって、蚊より小さな声はかき消された。それにしても、聞いてるだけで力が抜けそな声だ。きっと救急病院なんかに勤めたことがないんだろう。勤めてたとしても、すぐにはずされたはずだ。看護婦さんについて歩く。人生初の松葉杖デビューだが武夷大紅袍 武夷肉桂、かなり歩きにくい。街で松葉杖の人を見たことがあるのだが、手伝ってあげなかったことを後悔した。今度見たら手伝ってやることにしよう。となりをみると、彼女も歩きにくそうだ。僕の視線に気がつくと、彼女は恥ずかしそうに口を開いた。松葉杖歩きにくいですねええそうですねラクマンさんっていうんですか珍しいお名前ですねそちらは実に平凡な名前ですね下の名前を見たら、きっとびっくりしますわっ!こけた獅峰龍井 。顔面から床にぶつかり、見事な音が廊下に響く。道行くおばあちゃんたちに心配され、看護婦さんが、あらあら~と言いながら起こす。しかし人間ってもろいものだ。足一本折れただけで、杖を持ち、人の支えなしでは起き上がれなくなる。僕も同じだと思うと情けなくなるよ、まったく。やっとのことで、病室についた。いっておくが、僕は断じて転ばなかった。絶対に転ばなかった。病室の入り口にはネームプレートが貼ってあった君山銀針。樂満和輝と井上うわネームプレートには井上花子と書かれていた。いまどき花子って。学校でのあだ名はきっとトイレのなんちゃらだろう。心中お察しします。その花子さんは顔を真っ赤にしてうつむいてた。きっと会うたびに言われてきたんだろう。それをわかってて言うのは、子供である上に、野暮ってもんだろう。しかし、残念なことに僕は子供である上に都均毛尖 、野暮なことを言うのが大好きだった。トイレの花子さんみたいですねますます顔が真っ赤になる。なんかトマトみたいに見えてきた。それがおかしくて笑い出しそうになるが、彼女の名誉のためにやめておいた。はいは~い、窓際がイノウエさん、壁側がラクマンくんで~す看護婦さんがベッドを指さす。他にもベッドはあったが、僕たちのほかに入院患者はいないらしかった。4人部屋を二人で占領か贅沢なのかもしれない信陽毛尖。あの、その。カーテン、どうして違うんですか?それはもっともな質問だ。彼女のベッドについてるカーテンは白くて薄いが、僕のベッドのカーテンは黒くて、これでもかってぐらい厚い。シャコウカーテンだよへっ?社交カーテン?あはは、ちがうよ~。遮光カーテン。光を通さないカーテンなんだよ~。ラクマンくん、肌弱いからね~西湖龍井茶。親御さんからのリクエストなんだよ~へ、へえ~意外に物知りな看護婦さん。一般にでまわるものじゃないはずなんだけど。よ、よろしくおねがいしますえっと、ラクマンさんうやうやしくお辞儀をする。それを見た看護婦さんは笑いながらひらひらと手を振った。よろしくすることなんてないよ~。ラクマンくんは夜行性だからやっ、やこうせいそ。ラクマンくん、吸血鬼だからさ~オイ。嘘教えんな。冗談だってば~碧螺春。日光に当たっちゃいけないんだよね、たしか。でも、食事の時ぐらいには起きてよね~しっかり釘をさす看護婦さん。そういえば前に入院したとき、食事のときに寝たふりしてたっけ。別に病院食がまずいわけではないのだけど。そう、うん、なんというか牛乳、残しちゃダメだよ~図星。まるで見てたかのようだ。看護婦さん六安瓜片 、前に会ったことありましたっけ?ぞわりそのときだった。背中に言葉では表現できないほどの悪寒が走り、体がかなしばりにあったのかのようにうがかなくなった。そして看護婦さんが、異常なほど負のオーラを発している!眼鏡の奥の温かい瞳は、今では氷の剣のように鋭く冷たい!そして僕のほうに手を伸ばし喰われる黄山毛峰!そう思った瞬間、額が白い指で小突かれた。看護婦さんは、さっきのように暖かいまのびした声で、しかし氷の剣のような瞳を宿したまま、看護師さんっておよび☆と、ウインクした。僕は蛇に睨まれた蛙の如く、コクコクとうなずくしかなかった。じゃあ、必要な時はナースコールでよんでね~。あ、私はここの病室担当のナシモトだよ~そう言って看護婦さんは病室から出て行った。またウインクしながら。あの看護婦さん黄山毛峰、怖かったですねそうですか?驚いて振り向く。彼女はキョトンとした顔だった。本気で言っているらしい。さっきのは僕だけに感じられたのか?僕はこうして医療業界の闇を見た。もうこんな時間なんですね見るともう朝の3時だ。僕ももうそろそろ寝る時間だ。おやすみなさい、ラクマンさんそういって彼女はベッドの上にあがる。僕もあいさつをすることにした。おやすみなさい、トイレの花子さん~彼女は勢いよくカーテンを閉めた故園香緑茶。顔が怒りやら恥ずかしさやらで真っ赤だったのが、ちらっと見えた。僕もどさりとベッドに倒れこむ。しばらく遊べそうだな、と枕に顔をうずめながら考え、目を閉じた。その日は土曜日で、休日出勤していた私はお昼過ぎには会社を出て彼女の住む横浜のアパートへ行くことにしました。土曜日ということもあってか、国道134号線は冬でも大渋滞怡清源緑茶。観光地で賑う湘南江ノ島鎌倉などを通るこの134号線を横浜へと車を走らせながら、私はえみことの前回のエッチのことを想い返していました。えみこは私の一つ上の25歳。父親違いの女の子が6歳と2歳の二人いました。2回目の結婚も離婚となり、実家に近い横浜のアパートに引っ越してきていました。旦那の作った借金と共に。保証人を引き受けてしまったえみこは借金返済と二人の子供と自分の生活の為に昼間働いている間安渓清香鉄観音茶、二人の子供の世話を実家の親に頼むために横浜に戻ってきたのでした。昼間の仕事といってもガードマンといった肉体労働しか希望の額を満たす給料の職はありません。あとは独身のころやっていた水商売くらいが稼げる職業でしたが、えみこはその職には就きたくないとハードな男仕事のガードマンの職を選らんだのでした清香黄金桂鉄観音 。毎日ハードな仕事を終えて帰ってくるえみこは性も根も尽き果ててアパートに帰ってきます。前回の時は、そんな彼女を私は無理矢理にエッチに誘おうとしたのでした。付き合い始めの頃は私のことを想ってか素直に応じていた彼女でしたが、だんだんと自分のペースに持ち込んできました。いつの間にか私が下になってえみこが上になり、私のアレをえみこが手で愛撫している状態になっていました。そして、私の清香安渓鉄観音顔を覗き込むとこう言ったのです。あなたの眼ってまつげが長くて可愛い眼をしているよね。私なんか男みたいな目付きしているって職場の男たちに言われちゃうのに。私の眼を覗き込んで柔らかい笑みを浮かべた彼女は自分の大切なものを可愛がるような顔をしていました。そして何も言わずに、自分のさっきまで履いていた水色のショーツを私の片足に通そうとしてきたのです。私は何が起きているのかよくわからずにじっとしていました安渓鉄観音。両足に通されて太ももあたりまで上がってきたときに、私はようやく口を開きました。ちょっと、それお前のだろ?何するの一回だけ試してみない?今は私があなたであなたが私になりきってエッチするの。楽しそうじゃん!ま、そうだけど。楽しそうなのはだけどやっぱり恥ずかしいよ~。私はウソを言いました。これまでに女装は何回となく経験しているのに恥ずかしいなどと。この2ヶ月の間に様々な出来事があった香茶王。由香は正美を女性として婚約させるという健一郎からの要求に満額応えた形となり、洋介とは別れて吉岡家から忽然と姿を消してしまった。正美は由香のことを思うと自分が原因で彼女の人生を狂わせてしまったことを申し訳なく思った。正美自身は会社を辞職したことになり、関連会社の事務職を女性社員として再就職することになった緑茶 。正美が親会社の次期社長と婚約していることは関連会社でも噂となり、親会社社長の美人フィアンセとして社内でももてはやされた。しかし、正美は特別扱いされることを嫌がった。そのことが却って正美の評判を大変良いものにして、みんなが正美の周りに寄ってきた。正美はそういう意味ではとても幸せなOL生活を続けることができたが中国の茶、女としての日常生活には相変わらず戸惑うことも多かった。カプセルによる月に一度の生理は相変わらず煩わしいと思うもので、正美にとって悩ましいものだった。また、一人で外食することがし辛くなってしまったことは女性の立場である正美にとって不都合なことだった。そして、朝のラッシュは相変わらず痴漢に会いやすかったことも正美の悩みだった。街を一人で歩けば知らない男に声をかけられることもしょっちゅうで中国の十大銘茶、正美がそれ程綺麗でスタイルがよく、周りの男が放っておかない存在であることを証明していた。そんなある日曜日、正美は久しぶりに休暇がとれた五月と食事に出かけていた。五月の希望で、二人の子作りはもう少し先に延ばすことになっていた。正美がまだまだ女になって日が浅いということを考慮して二人の時間をもっと大切にしたいと考えての結論だった中国の茶文化。正美はその五月の優しい判断をありがたく思い、自分の近い将来の旦那様に誠心誠意尽くした。今日はそんな五月の誕生日で、おいしいレストランを見つけた正美が五月と一緒に食事へ行くことをだいぶ前から約束していたものだった。正美は気合を入れて綺麗に着飾ってきた。美味しかったね。あと、デザートが来るぞ。うん。五月、いつもありがとう薔薇花茶 。私、いろいろあったけどあなたの妻になれたことを本当に嬉しく思っているわ。これからもよろしくお願いします。僕も君を射止めることができて本当に嬉しいよ。こちらこそよろしく。カップルしかいないレストランの中で、五月と正美は見つめあいお互いの存在を確かめ合っていた。そんなとき、後ろのテーブルに座っていたカップルがおもむろに席を立ち上がった。やだっ、もう。彼女の方が泣きながら店のトイレへと逃げこんでいったようだった金銀花 。五月と正美はそんなカップルの方を何気なく見た。あっ!お父さん!正美がそう叫んだ先の男性は先ほど泣きながらトイレに駆け込んでしまった女性と同伴の男性だった。まさみどうしてここに!お父さんこそ。何しているのよ。お母さんはこのこと知っているの?知らないよ。頼む。早くこの店を出て行ってくれ。何言っているの桂花茶?それに自分が何をしているのかわかっているの?正美が怒って問い詰めた。男性の浮気は最早、正美にとっては敵以外の何物でもなかったので、容赦なく父を責め立てた。家で偉大な存在であった父を責めたてることは男の時にはありえなかったことだったが、父と異性となった今では平気でできてしまう。それくらい娘というものは父親にとって大切なもので大事にされたからだったかもしれない。目を細め、喉をふるわせるバクシダールを玖瑰花茶 、小人はじっと見つめていた。表情は全く変わらないが、それでも訝しんでいるのが気配で分かった。信じられないことだが、今の今までめまぐるしく方々へ飛んでいた思考が収束してゆく。頭の芯が、冷えてゆく。バクシダールはくつくつと笑いながら、手にしていたランプを壁に掛けた。いい加減に右腕は疲弊していたのだ。灯火は、高い位置から船室を照らす鳳凰単叢。ここは発した声はまだ涸びていた。軽く唇を舐めて、言葉を続ける。船の底だ。東へ渡る船の、ケチな三等船室さいつもの調子を言葉に出してみると、それだけ舌が滑らかになるのが分かった。他者と語らう表層は陽気に、けれど心の深層は常に冷静であることが商人には求められる。バクシダールという青年は、確かにその性質を備えていた。東、へ?シャオ=ヤオさ。その行李には、皇帝からの依頼の品が入っていたんだが菊花茶、なァ胸中の困惑も憤りも全て押し込め、青年は唇の端をつり上げる。卵の殻は何処へ行ったのか、そう問いたい気持ちをぐっと抑えて、バクシダールは口を開いた。おい、小さいの、黄水晶は何処へ行った?発した声音は、思ったよりも低かった。平静になったつもりでも、まだ心中は穏やかではないらしい。問われた小人は、そこで初めてわずかに表情を変えた鳳凰単叢。ほんの少しだけ白眉が寄せられる。それは、小人がバクシダールの苛立ちに気付いたことを示しているようだった。沈黙が、二人の間を支配する。小人は言いあぐねているわけではないようだ。ただ、硬く唇を閉じたままだ。そこからは何の感情も見いだせない。怒鳴りつけ、掴みかかって怒りを表すことが出来ないわけではないが、バクシダールは何故かそうしたくはなかった。妙に落ち着いてしまった表層は、厄介にも話術によるこの秋香黄金桂状況の打破を望んでいる。苦笑いを浮かべたまま、溜息を一つ吐いた。だんまりかよ、小さいの揶揄するようにそう言えば、小人の表情が再び動く。促すように軽く顎をしゃくってみせると、観念したのだろうか、小人はようやっと唇を開いた。風読(かざよみ)だそれが名前か?名前ではない淡々とした物言いに、バクシダールは内心首を傾げる安徽貢菊王。いくらか饒舌になった小人は、更に続けた。『小さいの』ではない。《風読》だ聞き慣れない言葉だった。風を読む、という、それが名前なのだろうか。そう問おうと口を開いた、その時である。どぅん、という突然の衝撃に、バクシダールは舌を噛んだ。づっ!?激痛に口を押さえ、膝をつく。床板はびりびりと震動していた。一体何が。そう思うと同時に、再びの衝撃が船室を襲う。唇を噛み締めて呻き、痛みがいくらか和らぐのを待った毛蟹。大波でもやってきたのかいや、この断続的な衝撃は、攻撃の意思を孕んでいる。一角、か?血の味のする口腔の奥で呟き、バクシダールは涙をぬぐった。大きく揺れたランプは、幸い床に落ちることはなかったようだ。バクシダールの呟きに、己を風読と称した小人は表情を変える。眉根を寄せた険しい面持ちで、天井を仰いだ白毫銀針。一角。それは、額に角を頂く獰悪な生物の総称だ。ここ数年で、それらは一気に出現数を増した。だからこそ、この船の航路は慎重に選ばれたはずであった。しかし、それも無意味であったということか。ずぅん、と、三度目の衝撃があった。ざわめきの気配がする。たたき起こされた連中が、混乱に陥っているのだろう。慌ただしい足跡が天井に響き、顎を上げていたバクシダールの頬には埃が落ちた。寝台を掴み、転倒を防ぐ茉莉花茶。小人が現れたどころの話ではない。それは生命の危機に直結する事態である。とにかくもランプをどうにかしようと、バクシダールが何とか身を起こした時だった。ひょう、と、風がすり抜けた。 命乞いをする時間など与えられずに、突き出された刀の先端がそのまま流れに逆らうことなく真っ直ぐに突き進んだ白牡丹。刀の切れ味は驚くほど素晴らしく、制服も体もまるで水に通したかのようにすんなりと入っていった。意外とあっけない死を迎えたものだ。零は冗談混じりにそんなことを思った。そこで気付く。死んだ筈なのに思考回路が正常に働いていると。それを皮切りに次々と異変に気付いていった。まず、刺されたのに死んでないこと。次に、外傷が全くないこと英山雲霧。悪い夢でも見ているのではと疑いたくなる状況だが、これは紛れもなく現実に起きた出来事だ。鵺が嘆息をつき、何だか腑に落ちないまま、刀を抜いていった。もはやこれ以上は理解する気にすらなれない。零は考えることを諦めた。刀は徐々に砂糖の山が切り崩していくように、鈍い光の粒子を八方に飛ばしながら先端から姿を消していった三峡碧峰。鍔まで行き届いた瞬間、余った部分が、バキンッ!と硝子が破裂したような音を立てて、刀身同様に消えた。破片が飛び散ったので手を負傷したのではと思ったが、鵺は少しも怪我をしていない。手品の類であるのだろうか。どちらかと言えば、ゲームなどに出てくる魔法のようなものに感じるのだが。今でも震えが止まらない零を嘲笑うかのように、鵺は相手に聞こえるようわざとらしく息を衝き、手を差し伸べた。あまりにも屈辱的な行いを、ありがとうございます、と素直に受け取るほど零は馬鹿ではない。抵抗し廬山雲霧、自分の力だけで立ち上がった。尻を軽く払い、鵺を見た。山ほど訊きたいことはあるが、どうも切り出すことができない。妙な緊張からか、はたまた質問の内容に信憑性を感じれないせいか。いずれにせよ、この場をどうにかしないと、零に安息が訪れることはない。!そうこう悩んでいる内に、鵺がその場を立ち去ろうとしていた。スクールバックを片手に帰る気満々のご様子だ。おい、ちょっと待てよと。零は心中でツッコミを入れた茉莉白龍珠。こんな疑問だらけの場面を何の解決もせずに帰るのかと。せめて何か一言くらいあるだろうと。ちょっと待てよ零は鵺を呼び止めた。もう鵺は扉の近くまで歩いていた。だが、呼び止めたため、一応止まった。今の何だよ零は鵺の元へ闊歩する。募る疑問を一つでも解決しないと、考え過ぎて精神的におかしくなる。零が鵺の近くまで着いた時だ。突然振り返り、零を睨み付けてきた。目で殺されそうと直感させるほどの威圧感に押され采花毛尖、零は三つ机を挟んだ場所で止まった。何か言ってくるのか。それともまた刀を出してくるのか。考えられる節はどれも零にとって不吉なことばかり。息を呑み、鵺を動向をしばし待ち続けた。やはり、私の目に狂いはなかったようだ鵺は一人で勝手に何かに納得していた。よほどの電波女だと恐怖すら抱きつつある零は一つだけ質問をした。あのー話って言うのは事の発端はラブレターから始まるわけで、そこは気掛かりな部分だ。未解決には終われない君山毛尖。ん?ああまるで今の今まで忘れていたかのような口振りだった。あれはお前を呼ぶための口実に過ぎない。騙して悪かったな下の自販機でジュースでも奢るか?と冗談なのか真面目なのか分からない口調で言い足した。もはや話をする気にすらなれない。まさか一目惚れした女がこんなにも軽い人だったなんて。零は放心状態に陥っていた。それより、私はお前に興味を持った。今から一緒に帰らないか?そんなラブコメちっくな展開が放黄山毛峰心状態の零の知らない間に起きていた。奇跡と言えば奇跡だが、待ち望んでいた奇跡とは別のものだ。しかし、まあそれでも一目惚れした女と一緒に帰れるのは全然悪くない。むしろ嬉しい。それに、訊きたいことは山ほどあるのだから霊芝茶。放心状態から立ち直った零は返事をした。じゃあ、駅まで一緒にもちろん、返事はオーケーである。二人が通う高校は都心の駅の近くにある。徒歩だと十五分ほどで自転車だとその半分くらいで行ける。偏差値も低めに設定されているため、頭が悪くても入りやすいことで有名だ。日が暮れた頃になると駅の近くのお店、特にファーストフード店などは大勢の学生達で賑わう。零と鵺は駅まで歩いていた。零は自転車通学だが甘草茶 、鵺に合わせて降りて押していく形にしている。多種多様な建物に挟まれた通りには、老若男女問わず大勢の人達が歩いていた。人手にぶつからないよう警戒しながら、二人は足を進めた。殺せない刀?どこから刀を出したのかが気になるところだが、とりあえず零は鵺の話に応対することにした。厳密に言えば、特定の人物しか殺せない特定の杜仲茶人物?そうその時の鵺の目は悲哀と復讐を孕んだ闇に堕ちていた。やっぱり何か事情があるんだ。黒い一面を目撃した零は、そう思っていた。私の親を殺した人物だ途端、足が止まった。それはあまりにも衝撃的な発言だった。零は遅れを取らないよう、鵺の背を追った。私は、水天金魚(すいてんきんぎょ)に二つの誓約を結ばせた水天金魚。どうやら、あの刀の名称のようだ。しかし本当に魔法の類のようだ。零は内心では疑いが晴れていなかったが鉄羅漢、さすがに誓約や何やら言っているものを手品とは言えない。一つは先ほど言った、特定の人物しか殺せないというものだから、俺は殺されなかったのか。零は心中で納得していた。もう一つは?水天金魚を目撃した人物から水天金魚に関わる情報を消去することその時、ようやく鵺が明るい面を浮かべた。黒い一面はもう見られない。誓約は絶対だ雪茶。なのに、お前は水天金魚の情報を記憶している。おかしな話だお、俺は魔法なんて使えないからな!零は変な疑惑や期待を払拭すべく、真っ先に否定した。何を言ってるんだ、こいつは。鵺は目を丸くしている。何言ってるんだ、お前。まあ何でもいいが、とにかくお前は私にとって特別な存在なんだ鵺が無邪気な様子で駅に足を踏み入れた。顔だけを後ろに向け、私の親を殺した犯人探しに付き合ってくれるか桂花烏龍茶 ?そう告げた。付き合ってくれという響きは零に妙な心地よさを与えた。何だか、まるでこうなることが運命のように感じるのは考え過ぎだろうか。まあ、俺に出来ることがあればお前にしか出来ないことはあるよ。ありがとう。黒屍始めて、鵺が零をお前呼ばわりしなかった。少し変わった始まり方だが、とにかく、零は鵺の話し相手にはなれた。零は自転車に乗らず、足を進めた。始めの一歩を踏み込む。死と運命の物語は、車輪のようにゆっくりと動き出した人参烏龍茶。いやあ、やっぱり若い人の回復力っていうのは凄いなあ回診にきた佐久間先生は、ベッドから起き上がって、食卓テーブルの上のワープロと向きあっている巧くんに、何度も頷いて感心していた。入院してから三か月もすると、手術した巧くんの頭の傷痕は見えなくなり、短い黒い髪の毛が生え揃っていった。リハビリのほうも順調で、先生方が思っていたよりも早く、車椅子も松葉杖もなしで歩けるようにもなっていた苦丁茶。そりゃそうですよと、主治医の医師やら研修医やら、また婦長さんや看護婦さんやソーシャルワーカーの人やらに囲まれつつ、巧くんは屈託なく笑っている。俺がこうなって一番嫌だったのが、自力でトイレにいけないことでしたからね。とにかく、看護婦さんの手を早く煩わせないようになりたいという一心で、リハビリに励んだようなもんですよああ恩施玉露、でも出雲さんにはと、まだ年若い巧くんの主治医は、クリーム色のカーテンに隠れるように佇むあたしのほうへ、ちらと意味ありげな視線を投げた。看護婦以上に、彼女の存在のほうが大きかったんじゃありませんか?前途有望な作家と、美しい妻将来のために、ちょうどいい予行演習になったように思いますけどね、僕はこれだから回診の時に居合わせるのは嫌なのよ、と思いつつ、あたしはむっつりした顔で雲南小沱茶、押し黙ったままでいた。あたしからなんの言葉も発せられないのを見て、巧くんがフォローにまわる。先生、前にも言ったじゃないですか。ちえみは弟の恋人なんですよ。いってみれば、将来の義理の妹ってとこですね。それじゃあ、来週には退院できるっていうことで、あと一週間ほど、お世話になります執筆活動、がんばってくださいね巧くんが看護スタッフに向かって頭を下げると、マシュマロみたいに優しい印象の残る太った看護婦が凍頂烏龍茶、そう最後に声をかけた。佐久間医師を筆頭にして全部で七人ほどの人間がぞろぞろと部屋をでていき、カルテを乗せたカートが、それに続くソーシャルワーカーの三宅さんは、最後にひとり残ると来週の退院について、その手続きのことなどを軽く説明してから、隣の病室へと移っていった。退院おめでとう、巧くんあたしは誰もいなくなった個室で東方美人、ほっと溜息を着いてから、ベッドの脇のパイプ椅子に座った。そして彼が二作目の小説として上梓する予定の、『ヘリオトロープホテル』という、ロンドンにある(架空の)ホテルで起こった、密室殺人の謎に挑むべく、印刷されたばかりの原稿を再び手にした。まだ本当に退院したってわけじゃないさ巧くんはワープロに向かってパタタタタ、と素早いタッチでどんどん文字を打ちこんでいる。彼の言うとおり、頭の中にできあがっているものを、後はもう脳の回線を通して移植するだけという、いかにもそんな感じだった太平猴魁。予定は未定であって、決定ではないってね。まあ、それでもたぶん、来週の水曜日には退院できるだろうな。そうしたらロンドンへ小旅行して、自分の書いたことが確かに間違ってないかどうかチェックリストを手に調べにいかないとなうん、あたしも読んでて凄いと思った。イギリスの地理とか鉄道の路線とか、向こうの文化とか習慣とかイギリスについて本だけたくさん読んだだけじゃあ、ここまではとても書けないと思うんだ。出雲健一郎って決明子、ワールドワイドに活躍する探偵なんだねそうだね。これからも世界各国を舞台に、難事件を次から次へと解決する予定なのはいいとしても、ちえみ、俺が来週退院したらそのあと緒にロンドンへいかないか?巧くんは、相変わらずワープロと向きあったまま、顔色ひとつ変えるでもなく、眉ひとつ動かさずに、なんでもないことのようにそう言った。巧くん、何いってあたしはパイプ椅子を思わず後ろへ引いた。ギィ、と床の擦れる迷迭香 、嫌な音がする。やっぱり無理、だよな。健を裏切ることは、ちえみにはできないもんなワープロから目を上げた巧くんと、あたしは暫くの間、見つめあったままでいた。言葉でなんて直接言われなくても、眼差しだけでわかる。愛している、と彼は言っていた。ちえみあたしは原稿の束をベッドの上に放りだすと、いたたまれない気持ちになって、そのまま巧くんの病室から外へでた。そして回診が終わったばかりの、佐久間先生と廊下でぶつかりそうになった洋甘菊。すみませんあたしは小さく頭を下げると、先生の脇をすり抜けて、走っていこうとした。でも先生は毛深い、浅黒い手であたしの腕を引きとめると、どこか秘密めいた小さな声で、実は話があるんですよとわたしの耳元に囁いた。もしよかったら、今から少しお時間いただけませんか?ナースステーションの脇にある医務室でここは、先生方が入院している患者や患者の家族などに、病状や手術の経過などを説明したりする部屋だった佐久康乃馨緑茶間先生は読影台にかかったレントゲン写真などを机の脇に片付けると、あたしに椅子に座るよう勧めた。外科医っていうのは基本的に、体の傷を治したらハイさよならっていう存在ではあるんですがね先生は鼈甲縁の眼鏡をティッシュで磨くと、机に片腕をもたせかけた姿勢で、あたしのほうを振り返った。なんだか、これからガンを宣告される患者と医者の図といったような感じだった。出雲さんの場合は、極めて特殊なケースだと思うんですよ紫玖瑰花茶。精神的な意味合いでね僕も脳外科医になって七年になりますが、頭の打ちどころが悪くて記憶を失くしたというケースは、出雲さんが初めてというわけじゃありません。







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